忙しく疲弊しがちな社会の中で、人々が日々の生活の中に潤いや緑を求める様になったせいか、ガーデニングや鉢花栽培といった園芸が静かなブームを迎えています。
これまでは年配の人や女性がやる趣味といったイメージが強かった園芸も、現在は若い男性までもが夢中になれる趣味として、立派な地位を獲得したと言えるでしょう。
園芸ブーム
現在の園芸ブームにおいて、その発展の大きな原動力となってきたのは珍しい海外原産の花や緑に違いありません。多種多様な花を咲かせ、また株の形態を持つ洋ランやサボテン等の多肉植物を始め、深く熱中するマニアを持つ植物はいずれも面白い形態を持っているものです。
もしこれらの花々に興味を持ち、趣味として栽培に取り組んでみたいと思うのであれば、注意すべき点があります。それは現在住んでいる日本の気候環境と、それら花々の原産地の気候環境が大きく異なっており、各々の花に適した環境をこちらが作り出してあげなければ上手く花を咲かせる事が出来ない、という事です。
日本と海外の花の違い
日本と海外の花の違いは?と問われ、真っ先に花の豪華さや大きさ、株の立派さに注目が行くのは仕方の無い事ですが、その裏に隠れたこれら根本的な条件の違いを無視して、上手く育て上げる事は出来ないと理解すべきなのです。
ただ幸いな事に、現在では様々な海外原産の花について栽培に関するマニュアルや参考書・入門書が発行されており、それらを参考にしてすぐに、その花にとって最適な環境を作り出してあげる事が出来ます。
もちろん花の種類によっては保温や保湿に本格的な温室が必要となってくるケースもあり、一筋縄ではいきません。むしろ最適な環境を作るあまりの難しさに、断念せざるを得ない種類も出てくるのは致し方無い事でしょう。そこでいかに自分に対して妥協し、自分の作り出せる環境の範疇に収まる種類を選択出来るかが重要となってくる訳です。
例えば現在多くの人から人気を集めている洋ランであれば、特に栽培上ネックとなる冬場、自宅内において確保出来る温湿度の条件をチェックし、その条件下で十分栽培出来る種類を厳選し購入すればきっと上手くゆく筈。一般家庭であれば株のサイズが小さく、夜間の保温対策がし易いミニカトレヤやミニファレノプシスといったミニ種が最も栽培に適している、といった具合です。
海外の花の特徴
海外の花は生活する住宅のサイズが大きい分花や株のサイズも大柄となり易く、日本のこじんまりとした住宅事情に合わないケースが多く見られます。ですからあえてそれらのジャンルの中でもあえて小型の種類を選んだ方が、上手く栽培出来るパターンが多いのです。
いずれにせよ、花を栽培する時はそこに暮らす人間の都合を第一に考えない事が必要です。
気難しい海外の花を育てる際は、あくまでその花の都合を第一に考える事。それに従って最適な環境を整え、最後に人間の都合を考えるというスタンスで取り組めば、いずれ良い結果を得る事が出来る様になるでしょう。それがどうしても無理なら、思い切って諦める勇気も必要なのです。